ミライの米工房
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米粉×ソルガムの専門ショップに聞く。米粉メニューの美味しさの秘訣は「ソルガム」

注目されている穀物「ソルガム」のアンテナショップとなる「縁-enishi-」には、米粉でつくられたパンやお菓子が並びます。小麦アレルギーとなったことで米粉の魅力に気づいた店長の山口 美佐里さんに、米粉メニューを美味しくする「ソルガム」について聞きました。

「縁-enishi-」(えにし)は長野県長野市にある、グルテンフリー商品が並ぶお店。グルテンフリー、白砂糖フリー、信州産の地産地消にこだわった、パンやお菓子が並びます。

それら商品に使われるのは「信州産ソルガム」です。ソルガムとは、世界五大穀物のひとつ。グルテンフリーで、小麦粉に代わる素材です。GABAやポリフェノール、食物繊維なども豊富なことから、近年はスーパーフードとしても注目されています。

「信州産ソルガムが入ると、旨味が増して、食感も良くなります。」と話すのは店長の山口 美佐里さん。米粉メニューの美味しさの秘訣となる「ソルガム」や、山口さんのグルテンフリーへの思いについてなどを、お伺いしました。

お菓子やパンでソルガムをもっと身近に。「信州産ソルガム」のアンテナショップ

―――店頭に並ぶ商品や、人気商品について教えてください。

「縁-enishi-」は2023年4月のオープン以来、小麦粉は使わずに「米粉」と「信州産ソルガム」を合わせて焼き上げた、パンやお菓子などをご提供しています。店舗には、メインとなるパンやドーナツ、そのほかスコーン、クッキー、シュークリーム、グラノーラなどが並びます。「信州産ソルガム」のアンテナショップとして、子どもから大人まで、安心して食べられるメニューを提供しています。

人気なのは、「縁パン」と「ドーナツ」。「縁パン」はもちもちとした食感に、ソルガム粉の食感やうまみも加わって、噛めば噛むほど美味しさがあふれます。味もプレーン、よもぎ、ごま、レーズンとさまざま。使う材料もできるだけシンプルにしています。

「ドーナツ」も一般的な揚げる製法ではなく、焼きあげています。こちらも重たくない軽い食感で、子どもからお年寄りの方まで幅広くご好評いただいています。

店舗に来る方はアレルギーの方が多く、特に小麦アレルギーの方はやっぱり多いですね。製粉工程から販売まで、小麦粉が混ざらない仕組みになっていますので、安心して食べていただけるかと思います。

―――野菜を使った商品もあるんですね。

地域の農家さんたちともコラボしていて、旬のお野菜をもとに商品をご提供しています。これまでには、無農薬で育てられた枝豆やサツマイモなどを使わせていただきました。

季節イベントに合わせた商品も展開しています。冬限定でソルガム入りのおしるこや、地域のチョコレート工房とコラボしたバレンタインに合わせたガトーショコラなども好評でした。

グルテンフリーとソルガムを広めるために

―――山口さんはなぜグルテンフリーに興味を持ったのでしょうか?

体調不良がきっかけです。まだ前職の会社員だった頃、熱が上がったり下がったりを繰り返す状態が3ヶ月間続き、病院にいっても原因が分からず、病院を転々としていました。

原因を突き止めたいと、自分でいろいろと調べたところ、辿り着いたのが「小麦」でした。当時、パンが好きで、3食パンでもいいくらいでしたので「あれ。もしかしたら」というところから小麦を控えることを始めました。

毎日食べていた大好きだったパンを、完全に断つのはしんどくて。2日に1回、4日に1回、1週間に1回と、断つ日数を伸ばしていきました。パンを数日断って解禁日に食べると、やはりまた体調が悪くなったので、原因は小麦だと確信。そのうち好んで食べたいという気持ちも落ち着き、そこからグルテンフリー生活が始まっていきました。

―――大変でしたね。そこから、どのようにして「縁-enishi-」につながったのでしょうか。

私と同じように体調を崩して、もし悩んでいる方がいるのであれば救いになりたいと思い、グルテンフリーについてもっと学びたいと考えました。当時働いていた会社を退職し、大阪に移住。グルテンフリーのカフェで働いたり、米粉の活用について学ぶ教室に通ったりと、勉強をする日々を1年ほど送りました。その後、大好きな地元の長野県でグルテンフリーを広めたいと思ったときに、「縁-enishi-」オープンのお話がありました。

「縁-enishi-」は、ソルガム製品の開発、販売をおこなう「AKEBONO株式会社」が運営しています。「AKEBONO株式会社」は、「信州産ソルガム」による地域活性化、循環型社会の実現をミッションとし、信州大学とタッグを組んだベンチャー企業です。AKEBONOでは、ソルガムの栽培から生産、商品化の一連の流れを、賛同した農家さんと協力しながらおこなっています。気軽にソルガムの商品を手に取っていただく場所をつくりたいと出店したのが「縁-enishi-」です。

育てやすい、使いやすい。活用方法が多様なソルガム

―――ソルガムについて教えてください。

ソルガムは、世界五大穀物のひとつ。アフリカ原産で、紀元前約3000年前から栽培され始めて、インドやアジアなど広範囲に広がっていきました。日本には遅くとも平安時代に伝来したといわれており、米の代用でお餅として食べられたと言われます。「タカキビ」や「モロコシ」などとも呼ばれてきました。

ソルガムは、水をあげなくても勝手に自生していくとても強い穀物。4〜5月の種まきから収穫時期の9〜10月までに、大きいものでは2mほどの高さまで成長するものもあるんです。栽培にも手間がかからず、山間部や中山間地の急傾斜な耕作放棄地でもよく育ちます。

また、食べるところ以外の葉っぱはバイオマス発電の原料に利用できたり、茎と葉っぱはキノコの培地に利用できたりと、余すことなく使えます。循環型社会の実現に一役買う、改めて見直されている穀物です。

米粉メニューのおいしさは、ソルガムが決め手

―――ソルガムが米粉商品に入ると、どのような良い特徴が生まれますか?

米粉パンをつくる場合、米粉だけですとネチネチ、モチモチする特徴が強く出ますが、ソルガム粉を加えると、その特徴が和らいで歯切れが良くなります。焼き菓子の場合も、サクサク食感が増しますよ。

また、米粉だけですと味が淡白、シンプルなものが多いのですが、味にうまみが加わります。また、血圧を下げる効果があるGABAや、抗酸化作用を持つポリフェノール、食物繊維なども豊富。栄養価の高い米粉メニューに変身するんです。
米粉の20〜30%ぐらいの重量が、ソルガムがつかいやすい割合です。こねているときも、比較的まとまりやすくなります。

「ソルガム=長野」へ、そして全国に

―――開業して1年、いかがでしたか? そして今後の展望を教えてください。

あっという間の1年ではありましたね。お客さまにはとても感謝しています。お客さまからは「アレルギーのある友人に教えたよ」「県外の方にお土産で渡したら、後日オンラインで買ったそうだよ」などのお声をいただいています。

今後は、よりお客様に寄り添えるお店にしていきたいです。お客さまの、大切な方へ食べてもらいたい気持ちに寄り添って「こんなものがあったらいいな」という気持ちを叶えていけたらと思っています。

そして、まだまだ認知されてないソルガムですが、当店のパンやお菓子をきっかけにソルガムのファンが増えてくれると嬉しいですね。「ソルガム=長野」のように定着して、長野県にとどまらず、全国に広まるように頑張っていきたいです。