ミライの米工房
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米粉の卸売問屋による「生米粉のパン・スイーツラボ」の挑戦

米粉の卸売問屋である丸冨士では「生米粉のパン・スイーツラボ」を開設。お客さまからご依頼を受けて、米粉パンのレシピ開発や量産を承ります。米粉パンに向き合い、奮闘するふたりの米粉パン職人の姿を追いました。

2023年の夏に開設された、丸冨士の「生米粉のパン・スイーツラボ」。お客さまに代わって米粉パンづくりを担うOEM生産をスタートしています。「生米粉のパン・スイーツラボ」を支えるのは、米粉パン職人の藤澤直樹さんと、安藤ゆきのさん。藤澤さんは、パンを作り続けて40年のベテラン職人です。

「お客さまのご要望に合わせて、美味しいパンを開発し、生産していきます。」と話すおふたりに、米粉パンのレシピ開発や、米粉パンの難しさなどについてお伺いしました。

お客さまのニーズに合わせてレシピ開発

―――現在のお仕事について教えてください。

安藤さん

お客さまに代わって、米粉パンレシピの開発や、生産を承っています。ご依頼があったら、まずはどのような米粉パンを希望しているのかヒアリング。米の種類や、パンのやわらかさ、形、中身の具材などを伺って、それらをもとに、レシピをゼロから独自で開発します。改良を重ねて「こうすればこうなるんだ」という発見や、「こうしてみよう」という工夫の繰り返しですね。
2人で協力して意見交換したり、会社のみんなにも食べていただいたりもして。時間をかけてレシピを開発しています。

藤澤さん

すぐ加工できる業務用の米粉状態になっている米は、本当にごく一部。ご依頼された米の品種が、業務用の米粉状態になっていないのであれば、米から自社で製粉していきます。米粉にすると冷蔵だと1週間はもたないので、つくる分だけ挽いていきます。

米から米粉にする際には、なるべく「デンプン損傷」を起こさないようにすることが大切です。デンプンに割れや傷が付いてしまうと、加工性や食感、ふくらみ方、ふわふわ感などに影響してしまうからです。米はとても硬いので、製粉前に水を吸わせて、やわらかくしてから製粉します。水を吸わせて製粉することで、デンプン損傷が少なくキメの細かい米粉になります。

―――ご依頼がきてからレシピが完成するまではどのくらいかかるのでしょうか?

安藤さん

2ヶ月ぐらいかかるものが多いですね。5回以上はお客さまに食べてもらって、感想をいただいての繰り返しです。レシピをいただくこともありますが、生産条件が変わるとその通りにいきませんので、やっぱり0からになってしまいますね。

藤澤さん

パンの生産数が少ない場合は安定するものですが、店舗用やイベント用に合わせて生産数が増えると、ひとつひとつに、ばらつきが出てしまいます。数が増えれば、例えばまるめる時間も増えるので、生地が乾燥してしまいますし、オーブンも大型になるので、熱量や時間も変わります。
レシピ開発時は、何度も試行錯誤しますが、そのたびに本番とまったく同じ分量を使って試作する必要があります。上手くいかなければ、また0からやり直しです。

米粉パンの開発と製造の難しさ

―――米粉パンをつくるのは難しいと聞きますが、いかがでしょうか?

藤澤さん

以前は小麦粉のパンをつくる仕事をしていましたので、小麦粉のパンと比べると癖があるなと感じます。グルテンがないぶん、うまく膨らまなかったり、固くなったりしてしまいます。

このラボのはじめの仕事は、丸パンでしたね。レシピ開発からスタートしましたが、形が丸くならなかったですし、中身もつまっているか、ゆるいかで、ふわふわにならなかったんです。何回か試作錯誤するうちに、わかってきました。開発の面白さもありますけれど、やっぱり難しいですね。

安藤さん

難しいと思います。焼き上がったとしても、味が決まらなかったり、臭みが気になったりしますね。数をやらないと分かりません。毎日が勉強です。

美味しさの決めては、水分量

―――美味しくつくるための、こだわりはありますか?

安藤さん

ふわっとした見た目や、ふわふわの食感を実現させるためには、生地に含ませる水分量の見極めはとても大事です。まず、米粉の種類によって必要な水分量が異なりますので、米の種類が変わると、また0から開発する必要がありますね。

藤澤さん

まず成形して、焼き上げて、見栄えと食感を確認。2回目の試作からは、前回の状態をふまえて、生地工程時に加える水分量を変えていきます。場合によっては2%ずつ微量に変えて調整し、決定していくこともあります。水分量を記録して、それを何度も繰り返すことで、一番いい水分量を見出していきます。

例えばココアパウダーなどの粉末が増えてくると、必要な水分量が多くなります。例えばココアパウダーを加われば、ベースから作り直しになってしまいます。そして、避けたほうがいいと言われているのはブレンド米の米粉。いろんな米の品種が入っているので、必要な水分量もそれぞれ異なってしまうんです。

適切な水分量を知ることに、時間がいちばんかかりますね。それでも、研究しながら経験を積んでいくと、だんだんと塩梅が分かってきます。

安藤さん

あとはハートが大事。心を込めること。

藤澤さん

それは、いちばん大事だね。

―――今後、どのようなパンづくりを目指していきますか?

藤澤さん

お客さまのご依頼に添えるパンをつくっていきたいですね。お客さんの目線に立って、お客さまの求めるゴールに近づけていきます。大変ですが、本当に喜んでいただければ一番うれしい。あとは、後輩への指導も頑張っていきたいです。

安藤さん

今年入社したばかりで、藤澤さんのお陰でやっとスタート地点に立てた感じです。お客さまには、一番いい状態のパンを届けたいですね。これから今後も試行錯誤を進めていきます。